人気ブログランキング |

個人的なことは政治的なこと、そして政治的なことは個人的なこと!


by terakoya93

あなたもパラダイム・シフト!

パラダイム・シフト! 
世の中を変えるのは政治家でもなければ裁判官でもない。

夏井睦『傷はぜったい消毒するな─生態系としての皮膚の科学』(光文社新書)を、読んでいる。
消毒するな、乾かすな。傷もヤケドも手荒れも、皮膚に住みつく常在菌の力を最大限活かせば痛みなく早期に治る。

消毒し、なめらかなクリーム状の(界面活性剤入りの)軟膏をぬる専門的治療への、まっこうからの反旗。

大やけどで救急車で運び込まれた大学病院で、「直ちに入院し植皮しなければ、敗血症を起こして死亡する可能性が高い」と言われた赤ちゃんに、白色ワセリンと食品用ラップで湿潤治療、2週間できれいに完治するなどの臨床例を多く持つ、成形外科医だ。

この治療で良いなら、医者はいらないぢゃないかー。

この「痛くない、早く治る、しかもお金がかからない」治療を提唱し、専門家集団からは四面楚歌の夏井ドクターは、だからこそパラダイム・シフトということについて、考察したのだろう。かなりの頁を割いている。

パラダイムシフトは「その時代や分野において当然のことと考えられていた認識(パラダイム)が、革命的かつ非連続的に変化(シフト)すること」と定義されている。
「天動説」から「地動説」への転換もパラダイムシフトなら、「神がつくりたもうた世界」から「進化論」へも、「君主封建制」から「共和制」そして人民主権の「民主制」への変化もパラダイムシフト。

これらの変化は、けっしてスムースには進まなかった。

……私たちはつい、科学の進歩も社会の進歩も、連続的段階的に発展してきたと考えがちだ。……しかし、科学にしろ社会にしろ、変化は突然起こり、それまで常識と思われていたことが根底からくつがえされ、全く関係のない新しい考えが主流になって発展してきたのだ。(『傷はぜったい消毒するな』より)

そして、「先入観を一番捨てにくいのは誰だろうか。それは専門家だ。」と夏井ドクターは書く。

天動説から地動説への転換には170年ほどかかったらしい。天動説を擁護する専門家は、おそらく死ぬまでそれにしがみついていたことだろう。

パラダイム・シフト! 
世の中を変えるのは政治家でもなければ裁判官でもない。専門家集団ではない。

それは、社会の中である一定程度の割合以上の人々が、あらたなパラダイムを当然とみなした時に起こる。割合のどこかの時点から、状況は加速度的に変化しもうけっして元へは戻らない。

一過性の流行とはそこが決定的に違う。
タバコ離れは、パラダイム・シフトだろう。どんなにJTが売上げを伸ばしたくても、カッコ良さや男らしさの象徴だった喫煙のイメージはもはや復活しそうにない。

昔は女こどもは殴られてアタリマエだった。暴力は無くなっていないけれど、家族間暴力を良しとする風潮はシフトした。体育会系の集団においても早く無くなって欲しい…。

もちろん、バックラッシュはつきまとう。パラダイム・シフトに抵抗する専門家を含めた、それで上手くいっていて恩恵を受けてきた人々は、メディアの力も借りて巻き返しに懸命だ。
そんな揺り戻し攻撃を受けながら、しかし社会は確実に良い方向に変わっていると信じたい。公然と奴隷制を復活するなどということはもはや起こりようがない。

同時に、今がまだ見ぬより良き世界に取って旧パラダイムであるということもしっかり認識していたい。

お金や権力が一番価値があり、戦争が耐えない世界が旧パラダイムとなって、人々が互いに対等に助けあう、命に一番価値のある世界へ。

パラダイム・シフトは、社会の中である一定程度の割合以上の人々が、あらたなパラダイムを当然とみなした時に起こる。であれば、それを本当に起こすのは、政治家でもなければ裁判官でもない。

世界のありよう(パラダイム)を知って、望む世界(別のパラダイム)を身のまわりに創っていくことで、本当に世界は変わる。
by terakoya93 | 2010-03-21 15:14 | 寺子屋 ISSUES !